お金の使いどころについて,何となく掴めてきた.そして,それらの多くに興味がないことも.革靴で10万円するものを買う人で10年以上使う人もいれば,5千円の革靴をワンシーズンで履き潰す人もいる.そんなファッションに使う人.あるいは,IKEAに通って楽しむ人もあれば,高級家具屋でよくデザインされた部屋を飽きては試す人がいる.そういうインテリアに費やす人.または旅行やゲームや本や音楽など,いろいろだ.
使い切れないほどお金を稼いで貯めて,一体何に使うのか不思議でならなかった.医療費や教育費といっても制度を使えば多くの場合,高が知れている.それでお金の使い道ないし使いどころを知りたいと思い,この6ヶ月くらい給与を全額消費に使ってみた.それでわかったのだ.使うところ,お金をかけるところは,人それぞれで実にいろいろあり,生活の楽しみ方で変わる.世にはさまざまな商品があり買い手や愛好家がいるのだ.
給与全額を消費してみて,経済の幅広さを見た気がした.お金をかけたいと思うところってこんなにも深く人それぞれで,自分のお金の使い方なんて世間の片隅にも置けない程度,標準であるべくはずもない.人はなぜ生きるか,塵に返るだけの惨めな命を,いかに楽しみバラで飾るかが人生なのだから,人それぞれ幸せや楽しみを求めて不思議はない.その時にお金は重要なツールになる.充分あれば大抵はやってみることができる.
買った興奮はいっときのものだ.それは誰もがよくわかる.問題は買った物でいかに長く楽しむか,ここに人生を楽しむ奥義が隠れている.お金をかけた分,高い体験を経験できるとか,愛着が湧くとか,いろいろ考えて人は買う.お金をかけなくても楽しいという人もいる.そういう時代も人生にはある.買うとは多様で不思議な行為だ.追究しがいのある人間の不思議だ.お金よりも買うという人間行動の方が面白いと感じた.
