私は服がつまらなかった.まず服を何も買ったことがなかった高1,お洒落な同級生に相談した結果,雑誌を1冊買ってみた.そこで紹介されている服は,どれを選んでいいか分からず,かといって面白い服はなかった.ベーシックなものか,ミリタリーなど男っぽいものしかなかった.それで仕方なくUNIQLOやその周りのショップで揃え,たまにいいものを掴めたが,人にいいねと言われただけで,自分ではその価値が分からなかった.
大学生になり,バイトで稼げるようになると,興味が赴くままに買った.渋谷や原宿に出向き,1万円の服を数秒で購入を即決したこともあった.手にしたのは派手な服ばかり.店舗のディスプレイの陳列でメインを引き立てる方の服だ.若いから似合うこともあったと思うが,一時期は1回着たらもう着なくなった.1日限りの服になっていた.ちょうどファストファッションの盛り上がっていた時期で,流行に乗っていた気分だった.
社会人になり,一時無職で貯金が底をついた頃,服を全く買わない暮らしを送った.持ち服で凌ぎ,着ない服は売るという生活である.就職し収入が安定すると,今度はアローズなどメインブランドを株主優待で買うようになった.しかしこれは長く続かず,ブランドものはすぐに満足し,今でもワードローブに掛かっていてたまに着る.35歳を過ぎるとUNIQLOやGUで良くなり,ついには服自体をほとんど買わなくなった最近である.
今でもファッションはYouTubeで勉強している.昔買った服の半分以上はまだクローゼットに持っていて,いわゆる物持ちの良い人になった.今冬も持ち服を着回して楽しむつもり.長く着られる服を多く持っており,いいものに投資してきたと思える面がある.なので,私のファッションライフは一応成功である.好きな服で街を出かけることが楽しくて仕方ない.若い人たちのトレンドとは少し違うスタイルで街を闊歩できるのだから.
