私は単純だという話.私は今,書斎でシューベルトのピアノソナタをYouTube音源で聴いている.スピーカーのSonos Beamから流れる音質には満足していて,聴きながらiPadでこの文を打っている.書斎にはIKEAで主に揃えたインテリアのほか,服や鞄,音楽のキーボードと楽譜,そして数百冊の本を並べた棚があり,書斎にあるものといえば実はそれくらいしかない.ワードローブの下の空間に健康的な食材を少しストックしている.
私のこの書斎,人によっては個性的でお洒落と見る人もあるのかもしれない.しかし,全てティーンズの私が夢見た空間を実現してきたに過ぎない.クラシック音楽も部録執筆も,インテリアも服や鞄も本も,高校生の私の興味の範囲内のことで,実はコンフォートゾーンを出ていない.保守的な人生だと言える.好きなジャンルが個性的か少数派なだけで,私の好きなものは一貫している.連続していないと思いつつ実は連続していた.
高2の時,印象派を聴いて衝撃を受け,生涯クラシックを愛そうと決めた.高2で父に相談し,父からワープロをお古で貰い受けたが,私はウェブサイトを作りたかったので,程なく轟音のする古いパソコンでウェブの独学を始めた.美術系建築の学校の学生を1年間やったので,インテリアは将来自分の部屋くらいは整えたいと思っていた.本には人生を変えられ,自分を決定づけた本に高3までに5冊は出合った.そんな若い時代だった.
今の暮らしは当時の夢の実現である.勿論,当時より追加された現実も多い.結婚したし,クリスチャンにもなれたし,ウェブプログラマをメインの仕事にできたし,この4年で健康の勉強をしたので予想以上に生活が安定し,収入も思いの外余るような暮らしになった.だから,私の夢や願望で叶わなかったことはない.ただ,この生活は私のコンフォートゾーンをほぼ出ていないのだ.快適と思う範囲内での暮らしなのだ.課題である.
