仕事がつまらなくて苦しい.ウェブを作る仕事をしているが,担当がひとり.何をするにも独力でデザイン案を作り承認のための企画書を作成し,実装までする.もちろん運用保守もひとり.任されている範囲が広すぎるその責任を楽しめれば良いが,上司はウェブの必要性を理解しておらず,何を作っても評価しないという.つまり私は自分の技術証明か情熱の捌け口として職位を与えられているのが現実なのである.
私は何のためにこの職場にいるのか.最近そればかり考えている.多分,上司も給与を多くないがもらって,仕事が少なければ幸せだとでも考えているのだろう.確かにそれはそうなのかもしれない.大して仕事がないのに年間300万円強の給与が払われる.根が腐る.情熱は枯れて久しい.いつでも馘になる準備はできている.解雇されたら願い下げだ,声がかかっている福祉系の事業所に転職したいと思う.
ウェブデザインの最新トレンドを調べ,世界の同時代のきらきらしたサイトやクリエイターの作品を見ていて辛くなる.高校生の時,渡米してウェブデザインの道を選ぼうとした人間なのである.両親に止められ,学生時代は主治医に止められ,社会人になっては障がいに止められた.何回かチャンスはあった.しかし私は慰留された.こんな安定しきった道を進めと言われ続けたから.彼らには今が最高であるらしい.
日本が沈んでいる.私は何のために高校を変え,自分の希望を押し殺して大学を出て,何のために今の生活に収まっているというのか.もう若さはなく,挑戦するにも足も道もない.同僚は言う,もうこの道に収まったらいいと.日本を支えている人たちは,仕事を減らし安定的な給与をもらえるのが最高だと考えているらしい.国は沈む.確実に沈む.この国で生きることを選択してしまったのだ,温い沼に浸かるしかない.
