今年は1年のうち7ヶ月を,収入以上使って暮らした.資産を取り崩して消費した.身の丈以上の暮らし方をした.結果,物は充分に供給され,物質的に不足がなくなり,満足した.しかしなお,これ以上買おうとする心が動く.これが資本主義の罠である.また,貯蓄しようという気も失せている.資本主義の盲点である.どうにかしてこの沼から這い上がらねばならない.少しでも資産が残るような暮らしに建て直さねばならない.
家計簿を見て,さすがに少し危機感が出た.使いすぎている.身の丈以上の暮らしはさして幸福でもないことを私は経験した.もうこんな生活を続けたいと思わないのに,なぜかこの暮らしが延長することを望んでしまう.いつまでも収入以上に支出してしまう家計を継続してしまう.この原因は何なのだろう.どうして収入に関わりなく限界を超えてまで支出してしまうのだろう.人生上のすごく不思議な現象に直面している.
一応,貯蓄する最大目的である老後資金について,必要額を計算し,毎月積立に回す量を決めた.これは無理のない額で,実践できるものだ.来年1月から天引きにする.生活を身の丈に収めることに貧しい印象を持ったものだったが,今は違う.少なく使って生活が済ませられれば,その方が賢い.そう思うようになった.少なく使って済ませるためには,広い知識と深い知恵を持つ必要があるからだ.この1年で私は貧しくなった.
人生には,知らなければならないことも多いが,知らなくて済ませられることも多くある.経験すべきことが多い一方で,経験せずに済ませられればその方が良いこともたくさんある.人生は有限だから,全てを体験することはできない.これと同じで,一生に手にするお金の量も有限である.だから,買うべき物は多くあるが,買わずに済ませられる物も多い.これらを見分ける目を持つために,無駄な買い物をするのは有意義なのか.
