人生は移り変わる.人もまた移ろう.思考や興味が脱力しているのを感じる.何もしない時間が増え,何も考えないでいる時間も増えた.その変化の善し悪しは判断しないでおく.今の私に起こっている変化を,私の人生における重要な変化として受け取る.30代を締め括ろうとしているこの時期に,仕事の盛りも知識欲の爆発も起こらないことが確定的となり,20代での未来予想ははぐらかされた.私が活動する意味は本来薄かった.
しかし,虚しさはない.むしろ満足に浸っていて,その満足は芯の部分で常に温かく存在し,おそらく今後も活動が薄くなり,継続もまちまちとなり,行動するという面では人生は薄くなるだろう.けれども,意味や経験の面ではますます内省し深まることが予想され,1回の体験が貴重なものと感じられることはだんだん強まっていく.あまりにも動いてばかりいた時代は終わりつつあり,周りの人や環境に感謝することが増えるだろう.
締め括りの始まりとも言える.人生を半分生きたと言っていい年齢になった.80歳まで生きられる保証も希望も特にない.半分生きた,そして折り返しの時間が始まり,今までの40年弱がかなり短かったことから考えると,これからの40年も大して長いものではないことが想像され,若さが衰えゆく身体や,ただ深まる一方にある精神と共に,これから何をして考えて生きるべきかと考える.これから何かを成そうとはあまり思えない.
今のつながりを今まで作ってきたようにゆるく続ける,それだけでも私はいいと思う.何かを成そうと考える人も私の年齢ではまだ多いと思う.けれども,私はもう人生から降りた.それで生活が成り立つならいいと思う.考えがないとか浅いというのではない.私はこれがいい,こう生きたい,と正直に感じられている.だからこの生き方,将来像に従って,日々を越えていければ,静かで満足した温かい人生になると思っている.
