いい物を長く使うとは若い人の発想で,歳を重ね死が近づくにつれ,安いもので済ますという発想で良くなる.いい物を欲する人は別である.お金を絞っていい物を買ったらいい.でも,別にこだわらない人は,適当な価格の,名の通ったようなメーカーの製品を買っていれば,問題は別に起きない.なんならありもので工夫し買わずに済ませることもできる.今までの長い生活で物は潤沢にあるのだろうし,要不要は明確だろうから.
こう考える私はまだ38歳なので,先取りした格好になる.そう,こう考えれば,老後に蓄えるべきはお金より知識であり,自分の生活を知ることである.私の生活で必要なものは限られている.それを安価にアップデートするだけで生活を維持できるのだ.品質が良いとか,最低限かっこいいパッケージデザインとか,その程度の要求を満たせれば,私はその物と生活を共にしたいと思う.多分,その物は安価になる一方だろうと思う.
今後長らく買う必要がない物を挙げてみた.化粧品,洗顔料,整髪料,アロマ,香水,楽器や楽譜,マスク,財布,バッグ,ベルト,グローブ,照明,ガジェット,PC,タブレット,ディスプレイ,カメラ,食器,紙類,ペン,クリアファイル,フォルダ,帽子,本棚,本立て,収納,ハンガー,カレンダー,ウォッチ,アクセサリ,ハンカチ,ネクタイ.今後これらの物を買い替えるとすれば,デグレードしたもので充分だと思う.
つまり,これから生活に必要な金額は,漸減するということだ.それで良いということ.何も問題ないということ.給与が上がるにしても,貯蓄が増えるにしても,無理して使い道を考えず,投資信託でも買っておけばいい.物を買うためにお金を使わなくていいのだ.当たり前に聞こえるが,この結論に辿り着くまで私は本当に悩んできてしまった.今,良い物を買わなくてはという強迫観念から自由になりつつあり,成長したと思う.
