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a deck for makers but poor

好きなことば

2017/8/25 by IKIX_temp

 自分で生み出したことばで自分の時間を楽しませる術を,ブログは教えてくれた.あまりにも気に入った短い言葉を散歩中や通勤中に想起するだけで,幸せで充足した気分になる.昔,本ばかり買っていた時,本の背表紙を見ただけで連想する本の内容を,その本を買わずに読まずにどれだけ考えられるかを,自分で書いてみることで試した時期があった.ほとんど作者の方が上等だったが,作者と同じ語彙や言い回しを見つけた時は嬉しかった.
 自分が考えついた好きなことばは自分のSNSに載っていて,かつては有名な芸能人にも読まれたようだ.「僕の辞書には不可能の文字がある」から始まり「しばらく僕は笑われる.僕は死ぬまで笑える.人類は永遠に笑うだろう」で終わる「笑い」という本の書評はいまでもアクセスが多い.「私はこの命題について真に驚くべき証明を見つけたが,この余暇はそれを書くには短すぎる.紙は余白ばかりだ」や「定理を解くのが私であるのなら,誰も解かないほうがましだ」という数学ギャグは数学界隈の会合で鉄板ネタである.「第三次世界大戦は知性の戦いである.いかなる文明の利器を手にしても,最後は紙とペンで戦う者が勝利する.第四次世界大戦はなるほど石や棒で始まるだろう.ありふれたもので何ができるかという創造性の戦いとなるだろう.終わる頃にはすでにお金がただの金属や印刷物と見做されているだろう」は巨大な妄想とはいえ,芸術家や女子によく受ける.いずれも寸鉄であり,一発ギャグに近い.
 好きなことばを自分で生み出す技術は,低賃金でも人生を良いものにする.知的な遊びだし,人柄が詮索される趣味だし,なにしろ役に立つ.ことばの生産はいまも通痛で行っているので,ご覧になりたい方はどうぞ.
 もっとも幸福な関係は「作ることを急がずに生きてみたいと思う.距離が温かさに変化することを考えながら」という,ある詩人の作品から物理学の発想を得たことへの感謝を表した文だ.早く成果を出すことがオマージュであるとの考えもあるが,急いでやるとろくなものにならないという考えを強く持っているので,ある詩人が存命中に完成しないとしても仕方ないというわけである.この物理の理論を考える時間は,若い私には勿体ないくらい心地良い.時代が作った穴にうまく嵌った良い人生だと思う.

カテゴリー: 20th タグ: 20th century, 本
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