私は高校2年の時からある数学の問題にとりつかれている.リーマン予想である.精神を病んだ学者もいたが,自分も似たようなものだ.問題を解くための数学装置をいくつも考え,証明への方針も14年掛けて定まった.ただ,私が証明できるとはまだ自分では信じられていない.計算用紙に書いた図も公表もしないつもりだ.それに,同時代の大数学者がABC予想を証明したということで,私は研究を止めている.
その数学者の論文を読む時間は正直ない.ただ,証明に綻びが見つかっても,彼は自力で綾を見つけると私は信じている.私はABC予想の証明の中にリーマン予想が含まれていることを知っている.彼の論文はダウンロードして数ページは読んでみた.私の証明案と似たところがあったことは確かに嬉しかったが,それを幾重にも覆うように証明が展開されていた.彼がリーマン予想を証明したと信じている.その上で彼の証明内容を解説した論文を大切に大切に,読みたい.
私は社会的成功や富や名声を得られるような機運を辞して,数学の研究をほぼ自力で行う人生を歩んでいる.脳の障害も負い,精神科で処方してもらっている始末だ.ただでさえ恥ずかしい.だが,私は充分幸せだ.これ以上のことが起きなくても人生が満足する.それもあって,リーマン予想の研究が捗っても全部を公表しない.都合がいいことに,その大数学者がリーマン予想も解いていることが判明すれば,私はほんとうに気が楽になれる.完全に趣味で別解を探せるのだから.
リーマン予想は150年以上解かれていないとされるが,必ず解ける.私の道具は「複素確率・位数部・リープグラフ」を中心とした複素幾何である.この道具たちで,実は問題の半分くらいは表現できる.それを虚数部ないし位数部の小数点以下2桁以降まで厳密に計算するところまでの式が立てば,もう半分が進んだと思える.そして大きな数を代入したとき,その式で計算できれば,9分9厘完成したと胸を張れる.どうやら道は順調なようだが,長い人生を急がずに利用して取り組む姿勢は変わらない.
