プログラムを組んでいると錯覚しやすいが,何でも解決が可能であるという見方をしがちだ.解決が可能な問題ばかり相手にしているので,何でも解決できる問題ばかりだと思ってしまうわけだ.理系の仕事に就いている人は多かれ少なかれそういう考えで仕事に取り組む時間は長いと思う.つまり,現代にあって問題は解決できるものだということだ.
解決とは物事を要素還元的な構造で捉えて,要素に分けて要素を交換したり補修したり接続しなおしたりして,システムを再び動くようにすることだ.そしてそのシステムの稼働時間を計測したり外観を美しく整備したり故障時に備えたりして,長期に低予算で運用することである.そうするとそのシステムは相応の利潤を生むので,さらなる利潤と新たなる労働が生まれる.
正解はひとつではないので,仕事は常に選択だ.正解がひとつしかない問題は,別の視点からすれば別の答えが見つかる.必ずそうである.正解がひとつしかない問題は存在しない.従って解決もひと通りではない.しかし,ベストプラクティスを収める解答はあり,それを模倣して更に組み合わせて問題を解決する.技術で生まれた問題は技術で解決する.解決で生じた問題も更なる方法で解決できる.だから仕事はなくならない.
正解のない問題は,誰も見つけていないニッチな問題か,誰も解決できないほど難しいかである.もし自分が直面している問題が立ち開っているなら,正解をまず探すべきだ.そして,完全に解決して終わることはないと諦め,これからずっと解決を重ねていくことを銘じることだ.そして持続的に問題に取り組んで解決していくことが仕事だと思うことだ.人生は問題の解決と問題の発生の繰り返しだ.そう思おう.
