昨日あるビジネス書を最初から最後まで読み通し,読後に違和感を得たので,きょう書店へ自由を得に行った.立ち読みである.社長が書いたビジネス書は大抵,収入をたくさん得ることが正しい人生の喜びであると説き,働くことが人生の目的だと思っている.大企業から転職し独立し成功しているからだ.ここに強い違和感を持った自分が情けなくなり,どうにもならなかったので,きょう書店へ行った,有休の用事のついでに.
自分は障害者のなかでは教育や労働の機会に恵まれたほうだと思うが,収入はさほど多くない.妻と外食ができることは密やかな楽しみなのだが,月に3回も行ければ満足しなければならない.そのくらいの収入である現在だが,幸せなので,このくらいの収入が持続すれば幸福も続くだろうと思っている.若手はもっと稼ぎたくなるものだが,そのもっと仕事したいという欲求を抑えて,在職できている状態を感謝して持続させることが,生活の目的になりつつある.
自分には大した仕事も収入も必要ないと思えたなら,それでいいのか,少し考えてみたい.大した仕事というのは現在の職場に失礼だが,毎日たいそう楽に働いている.苦しいと思ったことがない.そういえば新卒で働いていた会社を辞めた大きな理由も,同僚の労働量が少ないからだった,今となっては懐かしいが.なので,仕事がなくて辛かったことはあるが,仕事で辛いと思ったことがないのだ.
もっと自分を難関の企業で試すべきだったか,結婚した今でもしばしば思い返す.でも自分には生きる上で課題が多い.潰し切れていない人格論的な穴,常に謙虚さを吟味する態度の欠落,実現不可能なことを見積もる癖.これらは現在の生活でも克服したほうがいい課題だ.だから給料が安いのだと家族に詰られることには甘んじているが,誰を超えようとか比べずに,自分の精神が孤独な環境で深まることを喜びとする1年にしたいと思うのである.
