資格の勉強を,ずっと行っていない.この秋に1級技能士を受験しようと考えていたが,夏に見送ることにした.勉強の量は然程なさそうで,もう少しで合格できると測っていたが,それ以上の理由が擡げてきたので,見送った.受験料も安くないし,受験期間の長い拘束の間に,充実した諸々の人生の楽しみが禁じられると思うと,受験を申し込むことははできなかった.資格の取得と人生の楽しみを天秤に掛け,後者が優った.今,資格を取得する利点が,もうあまり見出せなくなってきた.一体何のために資格を取得するのか,改めて位置付けておきたい.
まず,資格手当である.資格の合格祝いや,資格所有者であるだけで,給与に上乗せされる会社が,世の中には多くある.士業ならともかく,IT系の会社にも多い.転職にも有利らしいという話の内実は,資格を取得すれば職が見つかるわけではないが,職が見つかった人は資格を持っていることが多い,という論理の綾をどれほど見抜けるかに懸かっている.実力を認定するためにあるのであって,挑戦するためにあるのではない.資格さえ取得すれば何か先がある,のではなく,何か先にあるから資格を取得するのである.資格はおまけ,箔なのだ.
もし自分が1級技能士を取得しようと腰を上げるとすれば,ウェブ技術にもう飽きるほど習熟し,もう何でも聞いてくれと云わんばかりになったときに,自分の仕事を誰かに認めてもらいたいと思って受験するのだろう.今のところそのような承認欲求の強くない状態を維持しており,受験には至らない.技能士になっても,給与には影響しない.ただ自分に箔が付くのみである.応用情報技術者を4度落ちているが,もう一度!と受験する気にはならない.仕事に無用の資格のひとつであるとの評判も真実であり,難関の試験をくぐりたいという欲求が高まったら勉強しだすかもしれぬ.
1級技能士も応用情報技術者も,きちんと勉強すれば楽しい内容だ.勉強した知識を仕事に役立てるべく時間を費やせば,本当に仕事に役立つのかもしれない.知識は何にどう化けるか知ったものではない.何に役立つか分からないから勉強は楽しいのだと思う.この書斎の裏に,1級技能士の過去問と,応用情報技術者の参考書が隠れている.引き出したくもなる.内容は楽しいからだ.そうして勉強する時間がないとか云って別のことに時間を充てて,充実したと云っている自分がいる.その態度ではいけないと思う傍ら,ここに記録することで緊張と疲れを和らげる哀しい我あるのみ.

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