学生時代,就職活動がうまくいかなかった.いや,今の職場で雇われるまで,就職活動がうまくいったことは,ない.今の職場は,私の持つ一定のウェブ開発技術が評価され採用された.しかし,もしその技術がなければ,私は未だに最低時給で働いているはずである.就職できない,だから技術を身に付ける.このアイデアを,私はウェブ技術だと解釈し,そこに絞って身に付けたから,就業できている.
私はあまり優秀な学生ではなかった.専攻科目には得意なこともあったが,プログラミングができなかったので,何かを作り出せる人間にはなれなかった.大学院で専攻を替えたものの,仕事で使える水準まで知識を持っていないことが露呈し,仕方なくIT企業に入社した.大手企業に関心はなかったし,IT以外の部署で会社員することも考えなかった.でも内定を得ることは難しかった.
同級生で大手に内定した人たちは,学業が優秀だったとか才能があるとか,特別な人はあまりいないように感じた.内定は才能ではないと考えたものだ.特に,私が学業をサポートしたり教えたりした同級生が大手にすぐ内定を取っていた.なるほど人に頼むのがうまいのだろうと思った.自分より勉強ができない人たちが,自分より収入の高い人生を叶えている事態に,しかし私は何も感じなかった.
私が人生に必要なものは,研究,文献,少々の趣味であって,収入や地位には比較的関心が薄い.どこかに旅行するより家で本を読むほうが何倍も充実したと感じる性質だ.子どものいる家族を作ることも関心がない.昇進は決してしたくない.そういった自分の歩みたい人生が,同級生たちとは異なることは,大学生になる前から分かっていた.だから自分は人生の選択に後悔していない.高校や大学の同級生がどんな暮らしをしていようが,私には関心がない.

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