良書に出合った.「今日からはじめる情報設計 センスメイキングするための7ステップ」という本.著者のアビー・コバート氏は情報建築の第一線で活躍中.著書の終わりのほうで「これができる情報建築家は今後も常に引く手あまたである」と記されている4つのヒント.情報建築が,会議や買い物や整理など,普段から役立つ視点なのだと分かったことで,この本の持つ潜在的な可能性に気づいた.情報建築家は,あらゆることを設計し続けることができるわけだ.その4つの視点を紹介.
1.皆が目にしていても話題にしない問題に目をつけよう.
会議で議論する問題があるとき,議題を中心に討論が展開する.そのとき,議論の前提や暗黙の了解が,議論の進展を妨げるかもしれない.そしてしばしばよく見えるものが,見える故に当然の前提となっている.その前提を,別の面で見て俎上に載せてみると,意外な解決が見えてくる.
2.共同作業の背後にある意図や同意事項を再確認しよう.
皆が当たり前としている,しばしばよく考えられていない前提を,本当にそう思うか皆に問うてみる.すると,実は皆が賛同していない,意見や解釈に相違のある概念だったことが明らかになる.言葉の背後にある思想を汲み上げ,皆に共有すると,膠着していた議論が次の段階へ運ぶ.
3.進捗度とゴールを提供し方向性を定めるのを手伝おう.
議論には始まりと終わりがある.前提とゴールだ.すると,その間に進捗がある.その議論の時間的内容的設定が欠けたり忘れられたりする議論は意外と多い.議論の目的を踏まえ,どこまで決まれば御の字で,どのように進んでいるか,議論の組み立てを調整する役目を引き受ける.
4.ゴールに達するまで言葉や構造を整理し洗練させよう.
議論は言葉でなされる.決定事項が積み上がりひっくり返り保留にもなる.そのとき,議論の組み立てをまるで部品の組み立てのように捉え,抽象と具体,普遍と特殊,主観と客観など既知の枠組みで整理し,豊富で多面的で納得がいく結論に持っていく.そんな人がいると仕事は終わる.

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