仕事で必要な技術は自前で揃えるほうだが,目論見を誤ることがしばしばある.サーバー設置の話が出たとき,自宅にLinuxマシンを購入し設定の練習をしていたら,その設置の話は没になった.動画を撮影するというので,撮影の技術と編集の練習をしようと,動画カメラと編集ソフトを買い揃えたが,私は動画チームから外されていた.ウェブシステムを作ってほしいとの話が出たので,JavaScriptフレームワークの本を数冊買って勉強していたら,一時は没になって慌てたが最近また進める方向でまとまっている.
自分の技術にしたいことは,会社で買ってもらうと会社に返さねばならないので,自腹で買ってきた.確かに自分に関心や関連の強いものが書斎に揃ってきた.カメラもスキャナも言語の本も,音楽キーボードだってある.やりたいことが何でもできているのは,やるための道具と環境を整えているからだ.ここまで揃えるために5年くらいかかった.自分の関心を知るだけでもすぐには知れない.
仕事で必要な物は,自分の未開拓の技術である.もし知っていてできるなら,すぐに仕事できる.でも知らない,よく分からない,経験がない部分があるからこそ,仕事で必要な物は出てくる.勉強の課題も,私は自分で設定し,本を買い,さらに知見を広げたいと思ってやっている.できることが増えていき,より多くのことを考えられるようになっていくのが面白く,四六時中々々々毒になっている.
必要な仕事が没になったとき,この投資は無駄になったとは考えない.基本的に,なんにつけても無駄というものはない.Linuxマシンは普段使いのほかにDVDや音楽を楽しむことや6TBストレージとして役に立っている.動画編集ソフトは教会の動画中継に役立てられた.フレームワークの本により実装技術の知見が広がりプログラミングがますます楽しく感じられる.仮説を誤っても無駄にはならないのである.

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