情報アーキテクチャ/情報建築は,日本ではまだあまり知られていない職能.コンテンツでもなくデータでもない情報というものを,分かりやすく使いやすく美しく設計するための分野である.よくある例を探してみると,ほとんどのものが情報建築の対象になるので,列挙しては言えない.そのくらい広く浸透するポテンシャルを持つ概念である.
水道や電力のようにインフラになった情報通信システム,特にウェブを,整理する専門家は少ない.というのも,情報建築は,どんな素人でもやっていることだし,なにより正解がない.さらに,インフラになっているので,この情報建築は素晴らしいといわれることはなく,情報は探しやすく分かりやすいものだ,と当たり前になる.インフラは私が情報建築に惹かれたのは,この当たり前ということだ.
情報建築をうまくやっても,誰も褒めることはない.情報建築家は評価されることもない.でも,当たり前に必要な職能だし,応用がとにかく広い.街にもインターネットにも,情報建築家を必要とするところばかりであるし,すべての情報建築は絶えず構築しなおす運命にある.一度設計したら完成ではない.状況の変化や時代環境の要求に応えて絶えず設計しなおされる.それが情報建築である.
私は昔建築を志していた.しかし,現実に建つデザインを作れず断念し,その後図書館情報学を修めた.情報建築は恐らく私がなりたかった職業,身に付けたかった専門性そのものである.適性はあると思うが,それで不得意かどうかは関係ない.関心の強い今から始めて,情報設計の専門知識を多くの場で活かしたい.陰ながら貢献できる専門家,情報建築家に私はなる.

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