客休は,きゃくきゅうと読むが,発音しにくいので「きゃっきゅう」と読む.客休とは,客観化休暇の略である.客観化休暇もまた,発音しにくいことばであるが,その意味は「業務を客観化するための中長期休暇」である.ワークライフバランスについて,働いている人なら一度は考えたことがあると思う.労働と余暇をまったく切り分けて,切り替える人もいるかもしれないけど,多くの人は休暇中に仕事のアイデアが浮かんだり,仕事中に休日の予定のことを考えたり,人間だからいろいろとものを考えていると思う.ワークのためのライフ,はたまたライフのためのワーク.その境界は曖昧だ.
客休では,1週間とか10日間休んで,思い切って何もしないで過ごす.すると,何かしたくなる.その創意がわくタイミングで,休暇を終える.その状態で業務に入ってみると,不思議なことに,コミュニケーションにもあそびや余裕が生まれ,混乱していた難題が一気に片付き,業務量が多くても疲れない,そういう状態になる.これが業務を客観化した結果である.目の前のことから少し離れてみると,別の見え方がする.だから,客休では仕事からかけ離れて過ごすことが骨だ.客休によってワークにもライフにも余裕が生まれるのだ.
今回私は夏休みを,できるだけ何もせずに過ごした.初めの数日は良く寝て食べて寝た.本も読まなかったし,インプットもしなかった.その数日後にはきょうが何曜日か,何月何日かさえ分からなくなっていた.そんな状態で大盛のラーメンを食べに行ったし,興味のわいたものを買ってみたこともあった.有意義に過ごすというときの「意義」の意味が変わり,何もせずできるだけ退屈に過ごすことや,本当に小さなことをするために1日を費やすこと,つまらないと思うこともアウトプットすること,そうすることに意義を置いて過ごした.
客休後のきょうは楽だった.話の聞き方にも余裕があったので普段より理解が進んだし,それによって自信が持てた.話の流れを整理しながら聞けたので,思いがけず詳しい内容を打ち合わせることができた.自分には決してできないと思っていた苦手なことが,きょうは難なくできた.まだ思うところには達せていないが,余裕を少し持って仕事に当たることでこんなにも効果が出ることが分かった.あそびや余裕は,客休中に大切な知人から教わったこと.それを覚えていて思い出せたことで,今までいかに情報過多だったかを気づかせてくれた.客休の効果だと思う.

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