知識は最良の投資先だと云われるが,実際そうなのだろう.わが家には本がたくさんある.仕事であるウェブ関連の専門書が百冊くらいある.科学の本も文庫を含めれば百冊近く.外国語や哲学など文系の本が百冊.その他家族の本が三百冊ある.本はよくデザインされた形である,部屋が本だらけで困ることはなく,むしろ部屋が広々使えて猫も悠々としている.われながらとてもいい暮らしだと思う.
本はどうも増えてしまう.読み切った本も,もういちど読みたい本もある.何度も読んで全部頭に入れたいと思う本もあるし,面白そうすぎて全然手が付けられない本もある.一度読んで終わらないのが本の魅力.だから本棚に本が増えていく.冒頭の言葉はベンジャミン・フランクリンのものだ.当時は知識を本から得た.しかしなぜ,知識に投資するのが最も良いのだろうか.
それは,本を読むための時間が長大で,その時間の中で得られるものが余りに大きいからではないか.得られるものとは,活字や内容や言葉とのかかわりだ.記憶してもいいし,活字を写本してもいい.理解を論じてもいいし,翻訳してもいいし,自分で起草してもいい.本は読むだけにあらず.本を巡る幸福こそ知識の楽しみにほかならぬ.
写真,動画,音楽,ウェブなど,楽しみの多い時代.本より効果的な投資先も沢山ある気がする.でも,撮影や編集や演奏も知識の為せる業.衣食住に足りたとき,余裕資金で始める投資.知識は見えないし量を確認できにくいから,どれほど貯まったか分からない.けれども,神さまの知識を増やそうと言った牧師のように,知識を増やすことで損することはないのでは.損しない投資先,それが知識なのだろう.

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