私は大変豊かであります,この溢れんばかりの豊かさを周りに共有しないと神さまの気が済まないのであります.正直,昨年までの私はこんな風に生きていた,そんな気がする.私はもうこれ以上自分のこの小さな器に豊かさを注ぐことができない,だから私の豊かな気持ちを誰かに分かち合いたい.幸い新しい知人や古い友人との関係が深まった昨年だった.それはそれは豊かな1年.今でも豊かさは残っていて,否定して容易に失くなるものではない.私は豊かになった.しかしながら,私の身には遂に新たな試練が与えられた.
この試練には名前がまだない.推定するとそれは中年の危機,うつ,更年期.いずれもまだ年の割に早すぎるが,それに類する兆候だと思われる.やる気が削がれる原因は,情報が多すぎること.身に付けるべき課題が多いこと,読みたい本が多いこと,そんな単純なことであるのに,解決できないでいる.本から遠ざかり,或いは整理し,視界から隠し,課題から外し,自分への要求をもっと少なく見積もってしまえばいいのだ.しかし,それができない.仕事上の都合があるのだ.要求される技術水準を達成できていないからだ.
今の私にできる仕事は,要求水準のより高い業務に近いうちに置き換わる.私は自分の実力以上に買われてしまっている状況だと想像する.転職後に仕事をしっかりやり遂げた証,私に頼めば作ってくれるとの評判が確定しつつある.しかし,実のところ私の職場に開発の知識のある人物はおらず,つまり私ひとりで設計から開発,試験も運用も行うことになる.所謂なんでも屋である.私の失敗は上司が責任を取ってくれるという組織構造ではある.それでも私はできるだけ失敗しないように業務に当たらねばならない立場にある.
私が人生に大事だと思うことは,穏やかに静かに過ごすことであり,活動も変革も名声も望まない.私は充分に豊かな生き方を選択している.この選択をできるだけ左右されないように考えて行動することが得策であると思う.この基準に適わないことはすべて断るのだ.穏やかに静かに安定した気持ちであること.成し遂げたいことがある人は達成すればいいし,有名になりたいなら自分を売ればいい.でも私はそんな生き方を選ばない.どんなに有能に評価されても,それ以上に大事にしたいことを優先させて生きていたいのだ.

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