Neat Need

　私には意識がなかったことだけど，私のように自分が考えたり思ったりしたことを正確に書き下す技術を持っている人は，社会にはあまりいない．ストレスの蓄積を抑えていられたのは，この部録に思っていることを書いて気持ちを整理し続けてきたことが大きい．書いていくと，自分の鏡のように，自分の思考状態を正確に記述するよう気を付けて，書き下す．起承転結の4部構成で，それぞれが同じくらいの文字数，といういつも決まった制約を掛けて書いてきたのも，長く続ける骨になっている．いつも整理がつかなくなったらこの部録を頼ってきたし，これからもそうするだろう．
　文字に弱い人や，文章が苦手な人が，世の中には意外に沢山いる．私とて文章が得意というわけではなく，文才は人によるので，評価も読み手による．私の文を高く評価する人もいるし，全然伝わらないと評する人もある．いろいろだ．だから私はこの部録を誰かに見せることや評価してもらうことを全く考えない．この部録はただ自分のために書いているに過ぎない．言葉を自分のためだけに使い，言葉を誰にも伝えないという使用法は，言語の性質として間違っているのかもしれない．確かにこの部録で言葉の使い方が悪癖となった面も否めない．
　誰かに読んで頂くために書く文も書くことがある．教会の月報に載るような文である．いつも私は簡単な言葉でしか話せないし，分かりやすい話でないと内容を疑う一面もあり，話をするのが難しい人物と見做されることも多い．でも，心ある優しい方がこの社会には居るもので，いつも私を大いに励ましてくださり，連絡もまめにしてくださる．私はこんな優しい人になろうと決めている．この社会も捨てたものではなく，いくら社会と悪戦苦闘して地獄の娑婆を見ているような人物でも，神に浄められ綺麗に洗われた心に変化することだってある．
　私は希望を持って生きている．少しだけ辛いことや，少しだけ苛立つことも，すぐに許して流せるようになった．人間は神が造り給うた．人間の作った不完全なものを使って生きている私たち．日ごとに神が与えてくださる食物を消化して生きている私たち．生活のどこに基礎を置くかによって，驚くほど安心して暮らすことだってできる．主の祈りを基礎に覚え，信仰告白を毎晩唱えることで，どんな苦痛が訪れたって構わない自分になる．こう考えると，考えて自分のものとして消化していければ，自分はどこまでも強くなれる．確かに消化は整理である．