私はウェブデザインを20年くらい見てきて,それなりの研究も制作もしてきた.ウェブデザインの歴史の流れや,現在のウェブデザインから見える未来をよく思い描く.そんな私が,ウェブデザインを巡る問題についてまとめてみた.数学と同じでウェブデザインにも未解決問題が多く存在する.誰かが考えてくれればその分肩に乗れる.そんな理論的考察を加えるのがウェブ研究者としての目標である.
Q1.表現と印象は誰も普遍的に対応しているのか.
A1.おそらくは誰が見ても同じ印象を受ける.研究の余地がある.
右上から左下の細い直線は,きりっとした決意や未来を連想させるパーツだ.色にも印象があるように,パーツの形にも印象は備わっている.色ほどいわれないけれど,パーツの形も持つ印象によってパレットの絵具のように選んで配置できれば,デザインの幅は広がる一方である.誰が見てもここにはこのパーツ.そういう形で定番化が進むはずだ.
Q2.すべてのデザインをレスポンシブにできるか.
A2.できる.PC版で実装できれば必ずレスポンシブにできる.
PCサイトで実装できたコードならば,メディアクエリでCSSを書き足していけば,必ずレスポンシブにできる.個別の工夫が必要なデザインも時にはあれど,今までできなかったことはない.方法は必ずあるので,柔軟に根気よく粘ってみることをお勧めする.
Q3.見易く使い易ければ多くのユーザーが付くか.
A3.否.ユーザビリティとインプレッション数はあまり関係ない.
使い易ければ一時的な印象は良くなるが,もう一度訪れようと思わせるのとは別である.同様に,見易いレイアウトや見入るコンテンツが展開されていても,もう一度見に来ようと思うかどうかは別である.「虹も十五分続けば見飽きる」とゲーテは云う.もう一度ユーザーに来てもらうにはコンテンツを更新するのが手っ取り早い.
Q4.実装できないワイヤーフレームは存在するか.
A4.ない.どんなデザインも実装する方法が見つかる.
実装する方法がなくて検索して途方に暮れているなら,もっと柔軟に考えてみたほうが良い.新しいコーディングを発明しなくても済むように,問題を既知の要素に分解し,新たに組み合わせて実装できれば,それは新しい発明である.自分の中での発明である.平面に描けるものはウェブにも書ける.この信念があるかどうか.
Q5.デザインの手法にいつか最終回答は出せるか.
A5.一部の問題は定番化したことから,いつか最終理論が出るはず.
コンテンツファーストが主流化した5年前から,すっかり定番化した現在.レスポンシブデザインの手法が解決したのだから,ウェブデザインまわりの制作理論はいつか完成するだろう.誰もがその方法でウェブデザインを捉えれば,誰でも設計できる.そんな理論は必ず出てくる.ウェブデザイン自体は数学で解けないほど難しいものではないと私は思う.

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