情報建築という奥の深い分野を専門とするにあたり,まずその定義を考えておきたい.情報建築とは,お客様を取り巻く情報をまとめ上げ,見つけやすく分かりやすく整頓する仕事を指す.情報の本質は,起こることを知らなかった出来事が起こる(ないし起こらない)ことを伝えることであり,情報を得る人が増えるほど情報は物事の起こる確率を上昇させ,また,情報は集まるところにさらに集まる.
そうした物理的エコロジーを持つ情報.ユーザーが知らないことを伝える,知らない方へ誘導する,リピート閲覧者にわくわくとした期待を持たせる,情報が多すぎる人のために整頓する環境を提供する.情報建築のタイプはさまざまだ.そして重要なことに,まだ情報建築家はこの世界に少ない.新しい情報建築が登場するだろう,情報建築の理論が練られるだろう,情報建築が博物館に収蔵されるほど芸術と結合するだろう.
私は学生時代から情報について研究考察してきた.その知見と,すでに出版もなされている書籍の内容とをつなぎ合わせ,独自の情報建築を構築する仕事がしたい.突飛な要素や前衛性を追究し取り入れても良いと思うが,基本は「見つけやすく分かりやすく整頓する」仕事である.ここを怠ってはならない.
世に出回っている街や本や看板を情報建築の視点で見てみると,よくできた秀逸なものもあれば,不充分なものもある.そのそれぞれをカメラに収めて研究ポートフォリオを作成してみるのも悪くない.情報建築も,従来の表現に現在の表現を足して,作った表現が未来の誰かによる表現になる,この流れを逸脱しない.思考回路の質を上げていくこと,これが情報建築の専門書の読書を再開できた今の私の課題だ.

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