職場が好きだ.仕事も好きだが,職場にいることも好きだ.もっと面白いと思えるのだ.私の職場は研究所.博物館や大学に出勤しているような気持ちで,研究の現場に身を寄せられるだけでわくわくする.書斎にこもると捉えられないことが,職場に行けば存分に味わえる.浴びるように現場の空気を肌で感じ,その中での役割を果たそうと動機付けられる.
そして帰宅すると,仕事が終わって残るものは技術とお金.書斎で一日の反省をすると,もっと柔らかく捉えれば,それこそ文字通り視野が広がり,何でもできる気がしてくる.仕事や趣味に捉われず,考えや思いを柔軟に保てば,世界は完成できるのではないか.本を読むにも,本に向かう姿勢や,著者への態度,本に期待する関心は,本と私を柔軟にする.
分からない本は,私の考えが凝り固まっているから読めないのだろう,もっと柔軟に捉えれば,さまざまな場面や人たちの前に立たされた時に役立てられるのではと思う.そうなったことはまだ少なすぎるけど.役立つ本は数冊あれば良いのだとすれば,また多くの本を読み切って捨てられるし,売って誰かの役に立てる.本は多くは要らないものだから.
私の書斎の本棚は,実用的な本と理論的な本が半々くらいの構成で,バランスは良いと自負している.でも読み切った本があまりない.本を買って持っていても,並べただけの本も多い.でも背表紙の存在感は知識の街を巡るのに充分役立っているし,理論と実用のアンバランスを招かないよう警鐘してくれる.本を読み切るほどもっと世界は面白いと思える.

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