10年前の私は独立自尊,何もかもひとりで作り上げる気力に溢れ,やりたいことを山のように作り出せた.その一部は今でも続いているけれど,心根はすっかり社畜だ.会社勤めのほうが簡単に給与がもらえる.圧倒的に簡単.その旨味を知ってしまったので,私は起業もフリーランス的独立も望まない.生涯を会社員で終えたいと考える始末.
簡単に給与が入るので,その弊害も大きい.社会に貢献している実感が乏しくなり,自分の才能を埋もれたものとしがちであり,能力を高める努力を忘れてしまう.ただの一匹の駒になり,駒を動かす上司も,より上の先達に動かされる駒に過ぎない.この国の会社とは,ありがたいものであるが,甚だ奇妙な組織でもある.
いまだに私は会社という組織が良く分かっていない.おかげで仕事に多少支障を来している.若い時は何でも挑戦して将来もっと善く生きたいと燃えていた青年だった.今は生活がこんなに楽になるほど私は努力したのかと実感するほどいろいろな面で満足し,向上心を失いつつある.でも私はまだやりたいことがいくつもあるので,その面で向上心は穏やかに燃えている.
満足と陶酔を警戒すべき齢が近々やって来る.若い人たちとやっていく年齢に達する.そのとき重要なことが何なのか,準備しておきたい.書斎の机にはさまざまな本が置いてあるが,これから読むべき本も多く含まれている.私はこれからこそ上昇する,だから研鑽する分野が思っていたことと異なるだけで,研鑽は続けるべきなのだ.その次の分野を近いうちに掴み取りたい.

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