月給を使い果たす生活をして2年になる.3割を寄付や献金に,4割を生活費に,残り3割を趣味や投資に,費やしてきた.最近は趣味や投資と雖も,長持ちするものを買うものだから,ほしいものが私の中で尽きてしまい,必要なものは悉く買えている.故にこの3割の支出はゼロにもできる.私の収入の3割全額を投資に回すと,1年間で100万円弱貯められるので,将来の暮らしを一層楽にできる.でも,今しかできないことは今することにし,必要なものは買っている.
老いてからではできないことは多い.活字の読み書き,遠くまでの散歩,数学論文の執筆.私が特に取り組みたいことのうち,身体の衰えによって難しくなることは優先したいと考えている.読みたい本は今読むべきだし,訪れたい街には今行くべきだし,考えておきたいことは今考えるべきだと.今しかできないことが人生には多いから,何か別なことに没頭したり,休息のうちに怠けていたりすれば,何れ後悔するのではと思うにまでなった.
この考えから買うものを思案しているが,余り思い浮かばない.家族と旅行し贈り物したり,スーツを2着仕立てたり,眼鏡やワイヤレスイヤホンを買ってみた.しかし,今年に入っての贅沢はといえばこのくらいで,これで充分大層使っているような感覚で,生活水準が下げられなくなるとの恐れが根拠なく浮かんでくる.いくら買ってもいつの間に増えている.それがなぜかまでは考えていない.不思議なことにお金が減ることが一向にない.
資産はある程度を超えると幸福を増さない.いくらでもあるような気になってくる.貧しかったころの暮らしを麻痺させ,いくらでも湧いて出てくる感覚へ茹ってしまう.気を付けねばならない.毎月いくら使っているか把握しているのに,お金が減らないことに疑問を持たなくなる.危ない感覚.貧しかったころの暮らしを時々取り入れて,少ない収入でやりくりする金銭感覚を取り戻すよう訓練しないと,金銭的に破綻しそうで怖くなる.

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