単純で約しい暮らしを心がければよいものを,給与の多さに目が眩み,見境なく使ってしまう.少し誇張した表現になったけれども,自分の世界を広げるために必要なものを,躊躇なく買っていると云ったほうがいいか.所有の幸福に持続はないが,知識の幸福は世界を拡張する.見つけること,発見することが,こんなにも日常的に多くあり,散策の途中で見た街の一角や,検索で見つけた知恵や商品は,好奇心が高められ満ち足らせる.最近は書店へ行っても面白い本を見当てることが減り,やはり礼拝説教を超える本は少ないなと思いながら,本の並ぶ我が書斎に戻って籠って書を進め,面白い本があることに安心する.
読書を中心に据えた生活は図書館情報学の学生だった時に思い描いた暮らしだった.本って1冊数千円だし,ウェブサイトを作るのにかかる費用も年間1万円程度で済むので,年収300万円台で充分で,だとするとどういう職業を選ぼうかとか,何歳までに何を成しておこうかとか逆算したものだった.その中で,35歳が転回点だった.35歳は重要な数字だが,今私は当の35歳だ.35歳以降の生活を考えていなかったのだ.35歳以降の暮らしを若い時に考えるのも酷なので仕方ない.だから私は今から恐らく定年までの生活を計画しておく必要がある.そうしておけば,その通りになるはずだから.
資産を増やすことにはもうあまり興味を持てない.お金に対する執着が小さいので,困っている人に無償で与えてもいいと思っているほど.教会への献金を中心に据え,生活費を月給の半分程度にし,残りは投資に回し世の注目事業の拡大に資することを目的にする.これを日々繰り返し,40歳で1,000万円,53歳で2,000万円,定年時に3,000万円の資産があれば上出来.家計はイージーモードのゲームになる.こうしてみると,まだ倹約する暮らしを続ける理由が見えるので,2か月に1回は月収の半分を費わないで暮らしてみたい.現に今年1月はそれで暮らせた.毎月そうやって暮らしてもストレスなければ続けてみたい.
多分,人間は環境に制約があるからこそ自由にものを考えるのである.月給を天引きした残りで暮らし,天引き分は別口座に入れておく,という方法を多くの賢明な人々が実践しているのはそういうことだろう.私も給与の天引き口座を持っている.今までは天引き分を投資資金としてその月に投資していたが,少し考えを改め,本当に天引きしたまま放置し,真に投資する機会が訪れるまで放置してみようと思う.そして重要なことは天引き後の給与の中で暮らし,そこに約しさを感じなければもっと額を減らし,資金が少ない中で暮らしていきたい.そうすればまた暮らしに幸せを感じるようになれるのかもしれない.

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